カツオブシムシ、イガの生態
タンスやクローゼットに保管しておいたウールのセーターやジャケットを取り出すと、虫食いの穴を発見してがっかりしたことがあるのではないでしょうか。 代表的な衣類害虫は、ヒメカツオブシムシ、ヒメマルカツオブシムシ、イガ、コイガ、の4種です。 どの虫も食害するのは幼虫の時のみです。幼虫の時は一週間で自分の体重の2、3倍くらいの餌(繊維)を平気で食べます。
●ヒメカツオブシムシ
幼虫:体長約8~9mm 黄褐色から茶褐色
成虫:体長約3~5mm 黒褐色から黒色
卵は10~15日で孵化
幼虫期は動物繊維、皮製品を食害します
●ヒメマルカツオブシムシ
幼虫:体長約4mm、暗褐色から黒褐色
成虫:体長約2.5mm 赤褐色または黒色 黄、褐色の斑模様
幼虫時期は通常は約300日で、幼虫は越冬して3~4月に蛹化し、4~5月に成虫になります。
幼虫期に羊毛、絹などを食害します
●イガ
幼虫:6~7mm
成虫:体長約5mm灰褐色で黒斑があります
幼虫は動物の毛、獣皮、羊毛、羽毛、冷凍乾燥標本などの動物質のものだけを食害します。
●コイガ
大きさはイガとほぼ同じ
成虫は淡黄褐色で光沢があり黒斑はありません。
幼虫は毛類、羽毛、羊毛、天然剛毛などを食害します。イガが動物質だけなのに対し、コイガは植物質でも生育できます。
カツオブシムシ、イガ対策
・特に汚れが付着した衣類(汗や飲食物のシミなど)を好んで食害します。汚れた衣類は早めに洗濯するか、ドライクリーニングします。 クリーニング後の衣類は、湿気を含んでいることがあるので、ビニール袋をはずし湿気をとばしてから保管するようにしましょう。
・衣類は長期間しまいこんだままにしないで、定期的に天日干しをするようにします。 衣類の虫食いを見つけたら、一緒に保管してあった衣類と同時にアイロン掛けをすると効果的です。高熱を当てることにより、卵も退治することができます。
・室内を掃除機などでよく清掃することも大事です。特に物陰になっているような場所は重点的に綺麗にしましょう。
・部屋の湿気も発生の原因となるので、なるべく風通しを良くして換気をします。
・幼虫はかじる力が強く、ビニール袋では穴を開けて侵入することがあります。乾燥食品類はしっかりした容器に収納して、高温・多湿を避けて保存します。
・白い洗濯物に付いていることがあるので、ムシが付いていないか確認してから取り込みます。
・衣類に糊付けをしてから保管するのは避けます。糊にはでんぷんが多く含まれているので、虫のエサになることがあるからです。